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  • 執筆者の写真教育エジソン

瞑想の姿勢②


 自律訓練法はリラックスの姿勢を基本とするが、そこに東洋的な「腰を立てる」という姿勢を加えることで、私の瞑想は成り立っている。

 私がこの姿勢の重要さを再認識したのは、池見酉次郎氏の『人間回復の医学』に紹介されていた森信三氏の立腰道・立腰教育の考えに接したときである。

 森氏によれば、腰骨を立てることは古来、禅・武道・芸道が強調してきたところであり、真に主体的な人間になるためには、四六時中腰骨を立て貫くほかはない、という。池見氏も、その考えに共鳴し、誰でもできるセルフコントロール法として、立腰道を勧めている。

では、「腰骨を立てる」とはどういうことなのか。前掲書に森氏の『立腰教育入門』からの引用がされているので、孫引きになるが、そのやり方を紹介しよう。

「一、尻を思いきり後につき出すこと 二、反対に腰骨をウンと前へ突き出す 三、そして下腹にカを入れると、肩のキバリがスカッととれる」

 私の経験から言えば、これは、正座や椅子にかけた姿勢で行なうのに適切な助言である。私の瞑想では、尻の下に折った座布団を置き、脚を重ねないあぐらの形でこれをする。

 腰骨というのは、ちょうど、へそ下三センチ位の高さに位置する感じがする。だから、尻を後ろへ突き出したまま、へそ下だけをぐっと前へ突き出すようにすると、腰骨が立ってくる。

 背中が弓なりになるくらい極端にこれをやると、ふだんは後ろに傾いている腰骨が逆に前傾ぎみになる。そこで、突き出していた腰骨をやや戻すようにする。この突き出す、戻すをくり返して、腰骨が垂直に立つ位置を見つける。

 うまく腰骨が立ったら、その上に、積み木を乗せるように、背骨を乗せていく。背骨の一つ一つのパーツがきれいに積み重ねられていくさまをイメージしながら、体を前後左右に軽く揺らして背骨の歪みを整えていく。重心が背骨のど真ん中を通り、腰骨までスッと落ちている感じになればよい。

 次に大事なのは、胸を張ることである。肩と胸のカを抜いて、背中の肩甲骨同士を寄せるようにするとよい。さらに言えば、両肩を軽く持ち上げ、そのまま肩甲骨を寄せつつ、肩を後ろヘストンと落とす。こうすると、肩のカが抜けつつ、自然と胸が張れる。

 こうして最後に正面を見て、あごを軽く引くと、奥に気持ちのよい姿勢になる。

 座った状態で腰を立て背骨をそろえる感じがわかると、立ったときの姿勢の整え方は、その応用でできる。きれいな姿勢で立てたら、それを崩さないように、ゆっくり歩き始める。

1994年8月

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