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  • 執筆者の写真教育エジソン

生徒名の記憶術?

更新日:2020年9月27日


 私は、教科は国語で、毎年1年生の授業を1時間は必ず持つ。初授業では、あらかじめ新入生全員の名前を完全に記憶しておき、顔を見て名前を呼ぶ。

 定時制は1クラス30名定員であり、せいぜい憶えても身3クラス(今年度からは2クラス)で、100人に満たないのだから、他の学校種の先生方に比べれば、大した数ではない。ただ、名前を憶えるためにイメージを使うのが、私流である。

 新学期早々、事務室へ行って、写真入りの生徒台帳を見せてもらう。事務室も忙しく、新入生の分はまだ整理できていない。「私がついでに、クラス別に分けて出席番号順に並べましょう」と言うと、喜ばれる。事務室の片隅で、台帳の束を広げ、名前と写真の顔を記憶していく。

 初めは、何となく眺めていく。一通り見たら、1人ずつ写真をじっくりと見て、顔を心の中でイメージできるようにする。

 つまり、顔の特徴をよく観察してから、視線を外したり、目を閉じたりして、思い浮かべる。うまくいかなければもう一度見て、またイメージする。

 何回かくりかえしながら、名前も同時に心の中で唱える。だんだんイメージがはっきりしてきたら、顔を思い浮かべながら名前が言えるか、何度かやってみる。

 一通りできたら、名簿を見て、名前から顔がイメージできるかやってみる。思い浮かばなければ、すぐ写真を見て確認する。次は逆に、写真を見て名前を言ってみる。これも、すぐに名前が出てこなければ、見て確認する。できなくてもあまリ気にしないで何度も見るのがよい。

 なかなか憶えられないものは、いわゆる「記憶術」の要領で、名前のイメージと顔の特徴を結びつける。たとえば、鼻の穴の大きい生徒の名前が鈴木なら、その顔をイメージして、2つの鼻の穴に鈴を詰めこむ。こうしたイメージは、人に言うわけではないから、こだわらず自由にやってみる。滑稽で思わず笑いが出れば、まず忘れることはない。

 入学式から3、4日は、初授業まで間があるので、その間、毎日1回は名簿を見て、顔がイメージできるかやってみる。

 新入生と廊下ですれちがうときには、「こんにちは」と声をかけて、相手の顔をよく見る。写真で見た顔が、生きて動いているのが感動的で、わくわくする。

 ときには名前を呼んで、生徒が目を白黒させるのを見て、内心おもしろがったりする。うまく思い出せないときは、あとで名簿で確認すれば、もう忘れない。

 初授業では、1人ひとりと微笑んで目を合わせながら、出席をとる「生徒の表情が手に取るように見え、1人ひとりが不思議と懐かしく、大切に思える。

 こうして、私の新学期はスタートする。

1994年8月

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