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  • 執筆者の写真教育エジソン

イメージでタッチタイピングをマスター


 私は7年ほどワープロ専用機を使い、現在はMacでこの原稿を書いている。もともとワープロを買った動機は、思いつくまま入力した文章を、あとで順番をいれかえて構成したり、断片的な情報を並べかえ、まとめて見出しをつけ、問題を整理したりといった、考える道具として使いたかったからである。

 そのためには、ペンよりも遠く入力できるブラインドタッチをぜひ修得したい。そう思っていた矢先に、じつによい本に出会った。富永直久著「ワープロは十本指で」(日本実業出版社)。ほとんどがイラストで構成された薄い本で、何より実践的でわかりやすい。

 この本の練習の原理はじつに簡単である。まず、10本の指を「ホームポジション」におく。「ホームポジション」とは、左からASDFGHJKL;と並んだ横列で、左手の小指から順に人さし指まで、ASDFと、それぞれの指をおき、右手の小指から順に人さし指まで、;LKJと置いて、両手の親指は中央のスペースキー(変換キー)にかけた形である。これを基本として、指がキーの位置を自然に憶えるまでくり返しキーを叩く、というだけの練習である。

 つまり、両面表示は英数モードで、まず左手で小指A、薬指S、中指D、人さし指F、また人さし指Gと打って、親指でスペースキーを打つ。次に、右手で小指;、薬指L、中指K、人さし指J、また人さし指H、親指でスペースキー。これを何度でもくり返す。

 富永直久「ワープロは十本指で」(日本実業出版社)

 こうしてホームポジションを憶えたら、次は、左でQWERT、右でPOIUYと打つ上段に移る。あとは、Zから始まる最下段、数字の最上段をそれぞれ練習する。

 キーの位置さえ指が憶えてしまえば、次の段階の、ローマ字でア、イ、ウ、エ、オ、と入力する練習、小説などの文章を見て打っていく練習などは、容易にマスターできる。

 ASDFGHと、声に出して打っていくとリズミカルでじつに楽しい。私はまずこれらの文字配列を声のリズムで憶え、キーボードなしでも、文字を唱えながら空中で指を動かしたり、イメージの中でやってみたりした。指を動かさなくても、イメージの中で、次のキーヘ指が移動する距雑感を感じる。実際にキーを打ちまちがえたときにすぐつまづいてしまうが、イメージだと失敗を気にせず、何度でもリズミカルに打つことができる。

 2週間ほどでほとんど反射的に指が動くようになった。今でも瞑想の中で練習するが、最近は、キーボードを打つこと自体が妙に気持ち良い。イメージと実際の指の動きがうまく連動し、自動化している快感だと思う。

 『ワープロは十本指で』は、まだ注文入手が可能なので、ぜひおすすめしたい。

 (2017年現在は絶版ですが、Amazonに古本の出品があります)。

1995年1月

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