2017.7.27 教員向け研修会の報告
- 教育エジソン
- 2017年8月11日
- 読了時間: 4分
7月27日(木)公開研修会「カットイメージ読解法入門」 報告
9名の先生方(国語科7名、英語科1名、地歴科1名)に御参加いただきました。
会の前半はカットイメージとは何かの体験、後半は小説『とんかつ』での授業展開の実際をお伝えし、充実した2時間半を過ごすことができました。
〈御感想〉 事後アンケートから
・ A先生(女性) 商業高校定時制
通常の授業の中で取り入れていきたい。最初は部分的に。いずれは教科書の文全体で。でも、ちょっと自信がないです。まずは教材研究の段階でやってみたいです。
自分が体験してみてとても楽しかったし、イメージが映像で浮かんでくる感じがしました。もともと精読に力を入れたいと思っていたので、いずれは授業の中にも取り入れて、じっくり生徒と作品を読んでいきたいと思います。
・ B先生(男性) 普通科高校
おもしろい、同時に難しい。まず自分で試してみてから取り入れたいと考えています。
ありがとうございました。職場の若者に紹介します。
・ C先生 (農業高校)
教える側が作品を理解するためにも、カットイメージ読解法は有効だと思います。
・ D先生(男性) 普通科高校 英語科
英語の小説の読解で応用してみたい。理解できているかを、具体的なイメージを問いかけることで、明らかにしていきたい。
『とんかつ』は、高校の授業で学んだ教材でした。知っている題材でも具体的にイメージを想起させることで、さらに読みが深まったように思います。英語でもイメージ化する習慣を生徒につけさせるように工夫していきたいと思います。
・ E先生(男性) 総合学科高校
授業時間が確保できるならば、グループを作り、カットイメージの検討会をさせてみたい。
もう少し訓練を積まないと、まだ今一つ区切れをつくれない(自身の感覚として)。評論文においてもこのような作業ができると面白いのではないか。
・ F先生(男性) 総合学科高校定時制
定時制課程の生徒にも活用できるような、たいへん参考になる内容でした。本日はありがとうございました。
・ G先生(女性) 商業高校
二学期の初めに『とんかつ』を扱います。カットイメージを生徒に考えさせたいです。
とても勉強になりました。読書を楽しむことと、授業がつながる方法だと感じました。
・ H先生(女性) 工業高校
『とんかつ』は一度、授業で扱ったのですが、ここまで細かく読めていなかったことに気づきました。まず自分で読むときにカットイメージを用いたいです。
〈先生方の質問・疑問と山崎の回答〉 事後アンケートから
Q:解問題を解くことに関してはどんなふうに対応しているのですか。
A:基本的には「読解問題は、本文の部分と全体のつながりをしっかり読めれば解ける」はずなので、カットイメージの学習をすれば、結果として解けるものと考えています。実際、実験データもそれを裏づけています。ただ、入試問題などのように、多くの不正解のなかから1つの正答を選ぶ問題の場合、選択肢のまちがいを見つけるなどのテクニックも必要になってきます。しかし、それは、本文の読解とは別物です。
Q:羅生門、杜子春、山月記といった古典によって書かれた、予備知識がないといけない小説の場合、イメージだけでは読み解けないのでは?
A:だからこそ、イメージさせることが有効です。予備知識がない場合、「イメージしにくい」感じとか、「このイメージでいいのか?」という疑問がわいてきます。そこに、古典知識の画像や映像を見せると、強く印象に残り、細部まで見ます。それでも疑問な生徒は、自分で調べたりします。イメージしたいという欲求が探究的学習にもつながるのです。
Q:答えが知りたいという生徒に何て言ってますか。
A:カットイメージは、自分でイメージしていく体験過程が重要なので、決められた答えを探す学習とは違います。その点をつねに強調し、「正解は何か」という発想ではなく、生徒の意見を大切にして、各自の内面を探らせます。すると、明らかな読みまちがいは自分で気づき、修正していきます。ただ、授業としてまとまりのなさ、不全感が残るといけないので、『とんかつ』の場合は、私の作業例をプリントとして事後に配布しています。
Q:イメージするにもある程度の力が必要だと思われます。その素養がない生徒に、どうすれば想像力を広げさせられるかが難しいところです。
A:イメージするにも力が必要だとの御指摘、その通りです。だからこそ、イメージを取り入れた学習で、イメージ力をトレーニングする必要があるわけです。
カットイメージの学習をスムーズに進めるための基礎練習としては、短歌(俳句、詩)のイメージ読みの学習が有効です。イメージするとはどういうことかを理解させ、イメージの多様性とイメージすることの楽しさを体験させることが、カットイメージへのステップになります。
教師にも、生徒の頭に浮かんでいるイメージを想像する力が求められてきます。そのためには、教師自身が自分のイメージをしっかり探る教材研究をし、なおかつ、自分のイメージを客観視して、生徒の多様なイメージを受け入れる柔軟性を持つ必要があります。授業の中でその力をつけていこう、と考えてください。
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