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  • 執筆者の写真教育エジソン

今日から1年以内に結婚?

更新日:2020年9月27日


 離婚して5年目。祖父母と同居の父子家庭生活もいつしか日常となったが、私の中で、深く理解・信頼しあえる生涯のパートナーを求める気持ちは、募る一方である。

 そんなおり、『今日から一年以内にベストパートナーと結婚する十三の方法』(春秋社)という本に出会った。自分がなぜ結婚したいのかを明確に書き、目標達成期日を決める。

 私は、よりよく生きるためにパートナーを必要とする気持ちを記し、目標を自分の誕生日に据えた。しかし、指示通り「私は2003年1月10日までに結婚する」と書いてみるととても抵抗があって、その下に「婚約する」と書き直した。

 それから、自分の価値観や相手に求めるものを、書きながら明確にしていく。ワークの指示通り書き込んでいくと、今まで漠然と求めていた理想のパートナー像が、次第に浮き彫りになった。それができたら、その思いを念じて、まだ見ぬ相手に「送信」する。あとは、出会いを信じて待つ。もちろん、手をこまねいて待つのではなく、自分の世界を広げることも含めて、出会いのチャンスは広く求める。ただ、相手探しだけに汲々とはしない。

 そこで、出会いの機会を考えてみると、文章で自分を表現できるEメールの世界は、私には向いていると思われた。偏見を捨てて探してみると、いわゆる「出会い系」サイトにも、まじめなものが多くあるとわかった。

 私は、離婚経験者の出会いマガジンに登録し、毎週送られてくる会員のメッセージを眺め始めた。すると、それぞれ懸命に生きながら、真剣な気持ちで新たなパートナーを求めている男女が多いのに驚かされた。が、真剣さゆえ、表現の不器用さも目につく。私なら、もっと素直に自分を出して魅力あるメッセージが書けるのに、という思いが募った。

 そこで思い切って、自分の飾らないアピールと相手に求めるものを書いて投稿してみた。すると、3人の女性からメールが届いた。2、3通のやりとりで、群馬県桐生市に住む看護師さんと妙に話が弾んでしまった。

 彼女は私の2歳下で、看護学校の教員の経験もあり、私の仕事には関心も理解もあった。瞑想の話を抵抗なく受け入れ、リラックス好きな2人は、温泉の話題で盛り上がった。毎晩のメールのやりとりが日課となり、後の2人には丁重にお断りメールを出した。

 私は、例のごとく早めに寝て夜中に一度起きるパターンだから、深夜にメールを書く。彼女も、大病院の過酷な三交代勤務の合間に、メールをよこした。やがて、それぞれの離婚の事情も語り合う。お互い、価値観が一致して深いところで共感し合える同士だという実感が、日に日に強まっていった。

 メールのやり取りを始めて約1ヶ月半、ごく自然に2人は会う約束を交わした。しかし、まだ、写真も見たことがない。どんな人だろう、という不安は、正直あった。だが、私は相手の容貌に多くを求める気はなかった。笑顔が魅力的なこと。それが、『一年以内に』にしたがって私が書いた中で、相手の容貌に求めた唯一の条件だった。

 桐生から来る東武伊勢崎線の終着浅草駅で2人は待ち合わせた。予定の特急が到着し、人の流れが改札口を抜けていく。ふと、長い髪の女性と目が合った。お互い、そのときにすぐわかった、とあとで語り合ったが、私にとっては、これ以上望むべくもないほど好みのタイプの女性がそこにいた――。笑顔が魅力的だったのは言うまでもない。

 実際に会ってみて、お互いに惹かれる気持ちはいよいよ確かなものになっていった。あとは、トントン拍子と形容するのがふさわしい。ごく自然ななりゆきで2人は婚約し、10月から結婚生活が始まった。

 『一年以内に』にしたがって立てた目標は、実際には3ヶ月も早く実現した。ワークを後で読み返してみると、私が描いた像は多くの点で彼女に合致していた。明るく前向きな性格で、私の価値観の理解者。想定する職業も、教育(保母、小学校教諭……)、マスコミ、などに先立って、医療(医師、看護婦……)と私は記していたのだった。

2002.12.

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