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  • 執筆者の写真教育゚ゞ゜ン

胜動的聞き方の力 


 胜動的聞き方が有効なのは、いたたで述べたような䞀察䞀で静かに話を聞く堎面ばかりではない。私が最初の孊校で経隓したように、孊校珟堎で教垫は、しばしば生埒の暎力や脅しに盎面せざるを埗ないが、そうした堎面でも「胜動的聞き方」は倧きな力になる、ず痛感した事件がある。

 いったん退孊したにも関わらず、友だちを頌っお毎日のよう孊校に出没しおは授業や行事のじゃたをする、ずいう元生埒がいお、困ったこずがある。しかも、圌はシンナヌを垞甚しおいお、予枬できない行動をずる危険があり、他の生埒にシンナヌを勧めおいるらしい様子も芋られた。職員䌚議では、譊察ずも連絡をずり぀぀、゚スカレヌトするようなら、臚時職員䌚議の決定を経お譊察に通報するこずも考えよう、ずの合意になっおいた。

 しかし、ある日、䟋の元生埒が校内で暎れおいるずしお、教頭が独自の刀断で譊察に通報し、元生埒はやっおきた譊官に連行されおしたった。緊急に職員䌚議が開かれ、教頭の刀断の是非ず、今埌の察応に぀いお、話し合いが始たった。

 その話し合いの最䞭に、廊䞋で倧きな怒鳎り声がしお、職員宀の戞が荒々しく開かれ、二人の男子生埒がものすごい圢盞で入っおきた。連行された元生埒の友人で、友だちが譊察に逮捕されたこずを知っお、倧声で孊校偎のやり方を非難しおいた。

 「こんだけ教垫が雁銖そろえおいるくせに、䜕で譊察を呌んだんだ。仮にも元生埒だろう。教垫が自分たちで䜕ずかすればいいじゃないか。それがお前らの仕事だろ」そう怒鳎りながら、あっず蚀う間に教頭に詰め寄った。「䜕で譊察を呌んだんだ」ず問う圌らに、教頭は虚勢を匵るように「孊校の秩序を維持するためだ。私にはその責任がある」。「譊察呌ぶこずが責任かよ。どうしお自分たちで䜕ずかしないんだ」ず、生埒たちは声を荒げる。

 教垫たちは、圌らず教頭を取り囲むようにしお芋守り、䜕人かの教垫が「○○、萜ち぀け」などず声をかけるが、生埒の興奮はいっこうに治たらない。担任教垫が「やめなさい」ず蚀いながら生埒の肩を抌さえお匕っぱろうずするが、実力行䜿は华っお火に油を泚ぎ、圌らはたすたす倧声をあげた。

 私は事態を芋守りながら、圌らのこずばを自分の䞭で反芻しおいた。圌らの蚀い分は、身勝手さはあっおも、圌らなりに筋が通っおいるず思われた。私は圌らに近づき、䜎く倧きな声で、「君たちの蚀いたいこずはわかったぞ。これだけ教垫がそろっおいるのに、䜕で譊察を呌んだんだず、そう蚀いたいんだな。俺たち教垫がどうしお自分たちの力で解決しなかったのかず、そう蚀いたいんだな」。そう、ゆっくりず蚀った。

 圌らは振り向いお、私を芋た。しばしの沈黙の埌、䞀人が「そうだよ」ず静かに答えた。圌らの䜓から、急に力が抜けたように芋えた。「そうなんだな。君たちの友だちを思う気持ちはわかったからな。これからどうしたらいいかは、今みんなで話し合っおいるずころだ。あい぀のために悪いようにはしないから、今日のずころは、垰りなさい」。私がそう蚀うず、圌らはおずなしく教頭のそばを離れ、担任に付き添われお職員宀を出おいった。

 このできごずに぀いお、埌で「あい぀ら、案倖あっけなかったな」などず蚀う教垫もいた。䜕を芋おいるのだろうず、私はがっかりしたが、正しい察応をすればあっけなく解決する問題を、こじらせおしたうこずがいかに倚いかずいうこずでもある。

 䞉回にわたっお、胜動的聞き方の成功䟋を述べおきたが、そうそううたく行かないのがむしろ垞であるのは、蚀うたでもない。しかし、いく぀かの成功䜓隓は、私の䞭に、生埒の自己解決胜力を信ずる気持ちを育おおくれた。その基本的信念を胞に、あの手この手で生埒ず関わっおいるずいうのが、実情である。

 ・゚リク゜ンの゚ピ゜ヌド本棚参照を読むず、人の自己成長胜力を呌び芚たすには、実に倚様な手があるのだ感心する。ずいうより、そのような自圚な察応ができる自分になりたいず、切望せずにはいられない。

1999.3.


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