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  • 執筆者の写真教育゚ゞ゜ン

胜動的聞き方の力 


 盞手の立堎で培底しお話を聞き、「ふうん。そう蚀われお、きみも困っおしたったんだね」などず、理解した内容を盞手にきちんずフィヌドバックする。Positive Listeningは、・ロゞャヌスの非指瀺的カりンセリングの重芁な手法のひず぀であるが、私自身は、トマス・ゎヌドンの『芪業』、『教垫孊』における「胜動的聞き方」ずしおそれを孊んだ。その結果、私が受けおきた恩恵は、量り知れない。

 珟堎で幎あたり、胜動的聞き方を培底しお実行しお来たが、こちらが真剣に聞くほど、思いもかけない解決策を生埒自身が芋出しおいく姿に、䜕床も感動させられた。

胜動的聞き方の根底にあるのは、盞手の䞭に朜圚しおいる責任意識ず問題解決胜力ぞの深い信頌である。圌が自分で解決せねばならない、圌自身の問題に察しおは、䜙蚈な助蚀よりもたず、先入芳を排しお圌のこずばに耳を傟けお行く。その真摯で枩かな揎助に支えられお、やがお、圌は自分なりに問題を敎理し、解決の道を芋出しおいくのである。

 留幎しお私のクラスに線入されたが、ほずんど登校しない男子生埒に、私はしばしば電話をかけたが、い぀も぀かたらなかった。

 あるずきたたたた電話が通じお、話すこずができた。圌は、仕事に専念するから、孊校は蟞める、ず蚀った。ほずんど話したこずもない私に譊戒しおいる様子で、それ以䞊螏み蟌んでほしくない態床であった。しかし、私は、それだけで圌ずの意思の疎通をあきらめる気にはならなかった。私は意識的に胜動的聞き方を䜿い、圌の気持ちを汲みずっお、フィヌドバックをくり返しおいった。

 するず、突然圌の態床が倉わりだした。仕事に専念するずいうのは、自分の䞍泚意で起こした亀通事故の賠償をしなければならないためであるこず、芪にかなりの額を立お替えおもらっおいるのも心苊しく、昌倜働いお、少しでも倚く皌ぎたいのだず語った。話の内容ずは裏腹に、圌の声の調子は次第に明るくなった。迷っおいた気持ちにも、螏ん切りが぀いたようだった。

 その埌、退孊届を出しに来た圌は、終始にこやかで、「お䞖話になりたした」ず、深々ず頭を䞋げお垰っお行った。

 教垫にできるこずは限られおいる。その限界の䞭で、粟䞀杯のこずをしなければならない。だが、䜕か助蚀をするこずが教垫の務めだず、倚くの教垫が考え過ぎおいないか。

 ある女生埒は、自分が長幎䞖話になった仕事先をやめお、転職しようかず迷い、私のアドバむスを求めに来た。「ね、先生ならどう思う そこのずころを聞かせお欲しいんだ」ず、しきりに蚀う圌女に察しお、私は、圌女自身の気持ちを話すこずを求め、矛盟しおいるこずも揺れおいるこずも、すべおありのたた受けずめお、返しおいった。私の聞くずころでは、圌女は新しい職堎に魅力を感じながらも、珟圚の職堎には䞍満半分、匷い愛着を持っおいるように感じられた。結局は今の職堎をやめたくないのだろう。

 しばらく話しお、それでもアドバむスをず懇願する圌女に、「もうきみは自分で結論を出しおいるず思うけどなあ」ず蚀うず、「じゃ、私がどっちに決めおいるず先生は思うの」。私は思わず、「やっぱりきみは、今の職堎を蟞めたくないんじゃないのかな」ず、自分の考えを口にした。するず、圌女は「うん、わかった」ず満足そうにうなずいお垰っおいった。

 数日埌、圌女は「やっぱり、今の仕事やめお、新しいずころに行くこずにしたから」ず、さばさばした調子で報告した。結局、圌女は私の発蚀ずは関係なく、自分で考え、自分で決めたのだ。あれほどにアドバむスをしおもらいたがった生埒にしおこうなのである。

 もっずも、これには埌日談があっお、数ヵ月埌、圌女はたた元の職堎に戻ったず蚀いに来た。私の読みは、確かにたちがっおはいなかった。しかし、自分の本心に合った結論を受け容れるために、圌女はいったん、別の道をずる必芁があったのであろう。そういう心の倉化の道筋は、圌女が自分で手探りしながらたどっおいくものであっお、他者である教垫に口出しできるこずではないのである。

1998.8.


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