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執筆者の写真教育エジソン

息子の高校受験


 息子も昨年15歳になり、高校受験の時期を迎えた。  埼玉県では、県立の伝統校は、ほとんど男女別学で、私の住む地域では、男子はK高校になる。文化祭は入場者が一万人を越えるほど盛り上がり、多くの部活が全国レベルの成績を上げながら、難関大学への進学率も高く、まさに文武両道の伝統を誇る。  息子は、早くからK高校を受けると言っていたが、三年になって、男子校は嫌だと言い出した。県立のトップ校では唯一共学のO高校を受けたいと言う。しかし、O高校は、有名なU高校に並ぶ難関であり、合格のメドは立ちにくい。  我が家では子どもを学習塾には行かせない主義だし、本人もそのつもりだったが、O高ではたいへんだと、妻は気が気でなく、学習塾の見学に私を誘った。結局、息子が納得した個別指導塾で数学だけ受けることにした。  思春期の中3は、受験の試練を経験するには最適であると私は思う。自分で選んだ目標に向けて努力する過程で、不安や自分の意志の弱さに悩みながら、成長していく。だから私は、つとめて余計な口出しはすまいと考えていた。とはいえ、母親は子どもへの感情移入が強くて、そうしたスタンスは難しい。それもまた、理解しているつもりである。  志望校について、息子は迷い続けた。その解決のヒントとして、私は、「ダイヤモンドランキング」法を教えた。志望校選びの上で自分が大事にしたい視点を上位9個、ラベルに書き出し、優先順位で並べる。しかし、一直線ではなく、中央が膨らんだダイヤ型に配置するので、重要なものを見つけやすい。

 その結果、上位に上がったのは、学力レベルの高さ、生徒の雰囲気、授業の雰囲気、部活動などで、「男女共学」は、意外にも下から2番目だった。  やがて、K高校の授業見学に行った息子は、生徒も教師もリラックスしながら集中している授業の雰囲気が気に入ったと、自らの意志で第一志望をK高校に確定した。  しかし、その後、数学の得点は下がり、他の科目も得点が伸びないなど、ピンチは続いた。そのたびについつい口出しをする妻の横で、私は冷静さを装っていたが、土壇場になって国語の作文が書けないことが判明すると、作文克服の学習法を考えて取り組ませるなど、親馬鹿の馬脚を表すことになってしまった。  何やかんやで、この春から晴れてK高生となった息子は、放送部、生徒会、文化祭実行委員などあれこれ手を出し、自宅の近所でピアノも習い始めた。地域の弓道場には毎週通い続けているが、覚悟を持って入部した弓道部は、練習がきついと辞めてしまった。  自分のやりたいことを模索しているが、成績は下降の一途で、青春の迷いは続く。

2010年8月

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