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  • 執筆者の写真教育エジソン

睡眠のコントロール


 学生時代まで人間は8時間眠るものだと信じていたが、就職したころから意図的に睡眠時間を短縮しようと心がけてきた。

 きっかけは、現在上智大学名誉教授である酒井宏氏の『ナポレオン睡眠』、『四時間睡眠法』という本を読んだことである。氏は長年3時間睡眠を励行して、専門の電気工学の他、書道家、バイオリニストとしても活躍し、軽飛行機の操縦もするなど、あり余る時間で多様な人生を展開している。3時間は極端にしても、何も8時間眠る必要はないのだ。

 そう悟って努力してみたら、一日5、6時間の睡眠で足りるようになった。瞑想による深いリラックスも効を奏し、「1分で眠れる」と寝つきのよさを自慢していた時期もある。

 その後、子供の出生と離婚を経て生活習慣は変化し、前ほど順調でなくなった。だいたい毎晩午前0時に寝て、朝5時半に起きるようにしたが、どうも目覚めがよくない。眠気のために瞑想も不調である。だからと言って、長く寝ても改善されるわけではない。

 しかし、昨年来、深夜にメールを書くことが多く、つい時間を過ごして、就寝時刻はしばしば午前1時になった。しかし、それでもいつも通りの5時半に自然に目が覚めることが多く、かえって気分はすっきりしている。

 近年の睡眠研究(井上昌次郎『睡眠の不思議』講談社現代新書)によれば、人間の眠りは脳が休んでいるノンレム睡眠と、脳が活動しているレム睡眠を一定間隔でくり返しており、約90分で1周期をなす。周期の終わりのレム睡眠で起きれば、気持ちよく目覚めることができるという。確かに4時間半という時間は、90分の倍数には違いない。

 いつしか1時か5時半まで4時間半の睡眠習慣となって、この3月まで半年ばかり過ごしてきた。もちろん、電車の座席で本を読めばたちまち睡魔に襲われるし、退屈な会議ではつい舟を漕ぐ。しかし、多めに寝てもその辺の事情はあまり変わらないし、朝の瞑想はむしろ眠気が少なくうまくいく気がする。

 全日制勤務となっても、5時半に起きているおかげで、出勤には問題がない。しかし、逆に困ったのは、夜に仕事がなくなった分だけ、早くから眠くなってしまうことである。

 そこで、9時でも10時でも眠ければいったん寝て、90分後に目覚まし時計で起きて、深夜机に向かい、2時半に再び寝る、というふうにしてみた。朝は5時半に起きるので、睡眠はやはり合計で4時間半。これであんがい調子がいい。

 早く寝て早朝に起きることも考えられるが、夜のつきあいもあるし、眠くならずに机に向かっていることもある。それをやっていると、起床就寝の時刻がめちゃめちゃになってしまう。この方法だと、何時に寝ても睡眠時間と起床時刻を一定に保てるメリットがある。

 睡眠の満足感は、量的な時間よりもリズムとタイミングによる面が大きい。新しい生活に対応する最善の睡眠習慣を求めて、心身との対話を続けているところである。 

2001.6.

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