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  • 執筆者の写真教育エジソン

21 私を支える3つの技法③ 親業・教師学


 新採の工業高校(定時制)で、教師に反抗的な生徒たちの言い分を、未熟な私は兄貴ぶって「わかるわかる」と言い続けた。しかし学校として、彼らの行動のすべては容認できない。そこで私の言動は矛盾し、裏切られたと感じたとき、彼らの攻撃の矛先は私に向かった。

 その事態になすすべもなかった私に、カウンセリングを学ぶ年配の同僚が紹介してくれた本が、トマス・ゴードンの『親業』だった。

 まず、「能動的聞き方」を使って、生徒のことばをよく聞き、「~なんだね」と受け止めていく。それだけで案外、生徒自身が答えを出すことが多い。

 周囲との間で問題を起こしている場合は、教師が「私メッセージ」を使って、「きみが○○すると私は授業ができなくて困る」などと、問題点を具体的に伝える。それに対する生徒の反応もまた、能動的に聞く。このくり返しで、生徒自身の解決能力を育てていく。さらに難しい場合、互いの共通の問題ととらえて、その解決策を一緒に考える(勝負なし法)。

 この方法は、生徒たちとの関係が悪化していく一方の初任校ではすぐには役立たなかったが、異動先の普通科定時制で心機一転、生徒たちと前向きに関わろうとする私にとって、強力な味方だった。その後、『親業』の教員版『教師学』が上梓されたので、その研修会にも参加し、現場で徹底的に使いこなした。

 逆上して声を上げる生徒でも、能動的聞き方を使えば必ず落ち着く。そうした経験を重ねて、生徒の自己解決力を確信できた。今も、生徒と関わるときの基本である。

2012年2月20日

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