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22(最終回) 学びに向かう意欲とは

  • 執筆者の写真: 教育エジソン
    教育エジソン
  • 2012年2月27日
  • 読了時間: 2分

 人は否定される不安から自分を防衛し、結果的に、望まない悪循環に陥る。KJ法を通じて私が得たその発見は、人間関係だけではない。勉強でも運動でも、失敗する不安から逃げ腰になるので、うまくできない。気を楽にして根気よく対象と向き合っていけば、大抵のことはできるようになるはずだ。だから生徒を不安の悪循環から解放し、できることの喜びを味わわせていく。それが私の教員としての仕事だと思った。

 そうして、異動先の普通科定時制では、信念に従って、「できた」という生徒の喜びを目標に、授業の工夫をくり返した。例えば1年生の国語で毎年、話し方教室と称してスピーチ練習を1年間続けた。前に出てあいさつするだけが精一杯だった生徒も、仲間に支えられて、やがて笑顔で話すようになっていく。

 HRクラスでは、全員の家庭訪問をし、文化祭で映画作りや演劇に取り組んだ。生徒たちの思いがけない力に感動する日々だった。

 そうして、関わり続けた生徒たちとの2年目、「どんな国語授業がいいか」、学年末試験の中で自由に箇条書きさせた。それをKJ法でまとめたのが図である。ここには、生徒の学習に対する思いが浮き彫りになっている。

 私はますます、生徒の中にある学習意欲の本質を確信した。そして、その方向で生徒と関わり、授業の工夫を重ねてきた。それが、この連載で紹介してきたさまざまな方法論になり、M高校の実践に生かされた。

 先生方の現場で「学びに向かう意欲を育む」ために、お役に立てば幸いである。

2012年2月27日

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