検索
教育エジソン
20 私を支える3つの技法② 本質をつかむKJ法
新採の工業高(定時制)で生徒と関係が悪化し、異動の決まった私が、瞑想と同時に取り組んだのは、自分の生き方を探す作業だった。
薄暗い教室で胸倉をつかまれ、「お前の教育方針は何なんだ」と問い詰められたが、何も言えなかった。その前に、自分自身の生き方が曖昧なままだった。
そこで、自分はどんな人間かと問い、自身で思うこと、人に言われたこと、何でもノートに書き出してみた。50項目以上になって考えあぐねたとき、KJ法を思い出した。川喜田二郎が開発した発想法。カードに書いた情報を熟読し、似た「志」のもの同士を合わせて見出しをつける。それを積み重ねていくと、本質的な発見を含む鳥瞰図解ができる。
私とは何か。その答えを求めてKJ法の作業を進めると、カードの島は、「本来の私」が出ているときと隠れているときに大きく分かれた。本来の私は創造性豊かで、明るく、人にも好かれる。しかし、否定される不安から防衛の構えになると素直な自分が出せなくなる。その態度が相手の否定的反応を招き、さらに自分を防衛するという悪循環に陥る。
そのメカニズムに気づいたとき、生徒たちも同じだと思った。それならば、否定される不安に負けずに素直な自分で在り続ければ、周りとの間に好循環を生み出せるはずだ。そのためにも朝の瞑想を続けたいと思った。
こうして、新しい学校で再出発する自分の核ができた。と同時に、KJ法の力を実感した。ぶれずに生きていくために、KJ法の技を磨き、使いこなして行こうと心に決めた。
2012年2月13日掲載