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教育エジソン
14 授業展開の工夫① 1枚ずつ配るシート
これまで、学習・人間関係のスキルを学ぶ独自科目「コーピング」と、「産業社会と人間」の学習内容を具体的に紹介してきた。ここから3回は、それらに共通する授業展開の工夫を考えてみたい。
リレーションタイム(人間関係スキル)の本が出たとき、「これで、毎週プリントを印刷しなくて済みますね」と言った先生がいたので、そうではないと丁寧にご説明した。これらの授業シートは、1枚ずつ配ることを前提に作られているからだ。
基本は3枚構成で、1枚目で問題意識を持ち、2枚目でスキル(やり方)を学び、3枚目で実際に練習する。
例えば、アサーション(自己主張)の回では、まず1枚目で具体的なエピソードを読んで考える。2枚目で効果的な言い方のパターンを学び、ワークに取り組んで理解を深める。3枚目では、いくつかの場面設定で言い方を考え、実際の会話練習に取り組む。
これを一度に配ってしまうと、できる生徒はささっとやって退屈する。一方で、じっくり取り組みたい生徒は焦りを感じる。すると、ステップを踏んで理解させたい意図が台無しになってしまう。1枚ずつ配れば、目の前の課題に集中させ、次への期待感を保ったままで授業を進行させることができる。
これらの授業は各クラス担任が実施するが、講義内容が同じというだけでなく、どの教室でも生徒が同じワクワク感を体験できるようにしたい。それが、学びの質を保証することだと思う。
毎度の印刷は、その労に見合うだけの価値ある仕事なのだ。
2011年12月12日