top of page

1 不登校生の思いに応える学校

  • 執筆者の写真: 教育エジソン
    教育エジソン
  • 2011年9月4日
  • 読了時間: 2分

 M高校は、チャレンジスクールと呼ばれる三部制の定時制高校である。不登校だった生徒などの高校生活へのチャレンジを支援するため、さまざまな取り組みをしている。

 中でもユニークなのは、学校設定科目「コーピング」(1年次必修2単位)である。「対処法」の意味だが、コーピング・メソッドタイムでは学習スキルを、コーピング・リレーションタイムでは、人間関係スキルを学ぶ。授業はオリジナルのワークシートで学級担任が実施する。私は5年前の開校以来、その開発に携わってきた。

 さらに総合学科必修科目「産業社会と人間」でも独自プログラムを製作した。それらの実践の中から、総合学習やHRそして教科の授業でも役立つヒントを紹介したい。

 そもそもなぜ高校で学習や人間関係のスキルを教える必要があるのか。ふつうの高校なら考えもしないはずだ。

 ある生徒のことばを引こう。「中2のとき、いじめが原因で学校を休むようになりました。勉強もわからなくなり、人間関係面でも学習面でも苦手意識が強くなりました。M高校のコーピングを知り、ぜひこの高校でやり直したいと思いました」。

 こうした思いに応えたくて、私たちはこの実践に取り組んできた。約8割が不登校経験者だが、生徒たちは毎日まじめに授業を受け、休み時間には笑顔と笑い声が溢れる。ごく当たり前のこの風景を、子どもの不登校に悩んできたある母親は「奇跡」と呼んだ。

 生徒の中には、変わりたい、成長したいという、学びに向かう意欲が眠っている。それを育む方法を考えたい。

2011年9月5日

bottom of page