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  • 執筆者の写真教育エジソン

初めての年次主任


 ふつうの高校では考えられないことだが、都立M高校に赴任して4年間、毎年、新1年生の担任をしてきた。1年次に置かれている学校設定科目コーピングの開発・実践に3年。さらに、「元気の出るキャリア教育」を目指して「産業社会と人間」(総合学科必履修科目)のプログラム改訂のために、もう1回、1年次に留まった。さすがにこれでお役御免のはずだが、さらに今年、ついに5度目の新1年担任となった。

 なぜかと言うと、今年私は、主任教諭から主幹教諭に昇格したが、主幹教諭は、校務分掌や年次の主任を務めなければならない。どうせやるなら、今までの経験を生かして、1年次主任として、あらためて担任団の仕事を整理し、今後の担任団に引き継いでいけるようなしくみをまとめたい。そう願い出て、かなった結果である。

 私は、自分の適性がリーダーよりもリーダーを支え、集団の目的に奉仕する専門家にあると思ってきた。だから、今までは、専門的能力を発揮してリーダーをサポートする役回りに徹してきた。それが、初めてリーダーとしてチームをまとめる役割になった。なってみて、その責任の重さを痛感した。

 受検合格者から新入生の名簿を作り、クラス分けの段取りをする。もちろん、先生方の協力を得て進めるのだが、もし間違って1人でも欠けたら、その責任は私にある。入学式が終わるまで、ほんとうに大丈夫かという不安はぬぐえなかった。こんな気持ちは初めてだった。

 そんなとき、昨年から引き続き一緒に担任を組み、相談できたり、間違いがないかチェックを頼める先生がいて、とてもありがたい、と感じた。リーダーは孤独であり、頼りになる右腕が必要なのだという気持ちも、理解できるようになった。

 既に半年が過ぎ、ふり返ってみると、本校には珍しく暴言・暴力など生活指導問題も頻発し、保護者との対応にも苦慮した。その際、前面に立つ各担任には、そのつど事情をよく聴いて信頼して任せ、必要なときはいつでも出て行く用意があると伝えた。

 また、担任同士、それらの問題をお互いにざっくばらんに相談でき、対処するときはお互いの気持ちを合わせて協力してできたと思う。14人の担任団の雰囲気は、和気藹々として、とても居心地がいい。5年間、1年次にいて、この基本的空気は変わらない。

 これは、コーピングや「産業社会と人間」という科目を担任全員で実施するしくみに負うところが大きい。平等な負担感と、これらの授業の中で深まる生徒理解。それがこの雰囲気の秘訣であると、私は言い続けてきた。それを確信するとともに、今まで私がお世話になった年次主任の先生方のご苦労を、あらためて実感した次第であった。

2011年12月


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